「i fenomeni degli autobus (イタリアのバス”超現象”) 〜前編〜

イタリアらしさをお手軽に体感できる所、
日本人の感覚からは信じられない常識が日々繰り広げられている所、
それはバスである。

地下鉄や路面電車がないフィレンツェでは、バスは住民にとってまさに生活の動脈であり、
僕も留学初日から、通学に買い物に必ず毎日利用している。
今住んでいるアパートは、町のへそであるドゥオーモからバスで15分くらい、
学校までは30分程度というしっかりとした通学時間をバスで過ごしている。
そんなわけで今回は、イタリアのアウトブス(イタリア語でバス)で
僕が実際に体験した数々の”超現象”を紹介。


アウトブス現象@ バス内の天国と地獄

イタリアのバスに乗車したときは、可能な限り座席に座ることをお勧めする。
もし空いているイスがない場合は、両手で棒やつり革にしっかりつかまり、
体をどこかにぴったり固定させること。
さもないと、バスが発車したとたんに”地獄”を味わうことになる。

とにかくイタリアのバスは、他のイタリアのすべての車と同じく、急発進、急停車は当たり前。
カーブを曲がるときなどは、道がすいてさえいれば、ジェットコースター並の”G”を感じることが出来るくらい、
すごい勢いで曲がっていく。(日本だったら絶対悲鳴が起きてる、ハズ。)

運転の荒さだけではなく、フィレンツェは、道も荒い。
フィレンツェは、バスが頻繁に走る目抜き通りでさえ、
多分400年前くらいに轢かれたであろう石畳をそのまま使っているので、
これがものすごい上下左右の揺れ(激震)を引き起こす。

そんなわけで、イタリアでバスに乗るときは、座席に座ることが天国です。
実際、僕もバスの中で2回真横に転倒してます。


アウトブス現象A 「降車の際は、バスが止まる前にお立ちください。」

日本でバスに乗っているとよく、
「バスを降りるときは安全のためバスが完全に停車してから席をお立ち下さい」、
という車内アナウンスを耳にするが、
イタリアでそれを実践しようものなら、バスを降りられること自体が奇跡である。

イタリアのバスで目的のバス停で降りる際には次のような降車ルールを守る必要がある。
まず、窓から外をじっと眺め続け、現在位置を常に把握しておく。
(イタリアのバスは、日本のバスのように次の停留所のアナウンスなど、当然ない。)
次に、目的の停留所の一つ前の停留所を発車したら、”すぐに”降りるボタン(日本と同様)を押し、
押したら”すぐに”出口へ向かう。
そして、目的の停留所についた時には、必ず出口のドアの前にいて、
いつドアが開いてもすぐに下りる体制を整えておく。

よほど上級者じゃない限り、この基本ルールを守らない限り、まともに降りることはできないのである。
さもないと、降車ボタンが押されていてまだ誰も降りていないのにもかかわらず、
人が降りる気配が2秒間ぐらいないと、すぐにドアは閉まり発車する。
地元のイタリア人ほど、この”降車ルール”を遵守していて、降りそこなうのは、たいてい荷物の多い外国人旅行者。
実際、僕もバス初心者の頃、2度も降りそこなったことがある。

要注意なのは、前の停留所を停車せずに通過した時(自分の停留所が近づいていることに気づきにくい)。
そして、バスが混んでいるとき。
特に混んでいるときは、「ぺるめっそー、ぺるめっそー(通してください)」と人を掻き分け出口に向かい、
出口の前に人が立っている場合は、決して遠慮および躊躇せずに、
「しぇんで?(降りますか)」と聞いて、その人とポジションを変わってもらうなど、
降りることを主張しておかないと、出口を目前にして降りれないことも多い。

かわいそうなのはご老人方である。
悲劇的に揺れるバスに乗っていて一番座ってなきゃいけないご老人が、
降りれないという更なる悲劇を避けるため、3駅ぐらい前から席を立って出口に向かっていく方が多いのだ。

ちなみに上級者はというと、バスが混んでいるときなどは、入口から乗り込んだら、
そのまま動かず入口から降ります。(結構迷惑なのだけれど)


アウトブス現象B ドアは停車する前に開き、発車した後閉まる。

イタリアのバスは、なぜかいつも急いでいる。
それで時間に遅れがないのであればまだよいのだけれど、
たまに時刻表どおりにバスが来ると逆に驚いてしまうぐらいよくバスは遅れるから、
彼らの急いでいることの定時性への貢献はほぼないのであるが、
とにかくバスは、バスの運転手は急いでいる。

よって運転が非常に荒いというのは先に書いたが、
同じく、そんなに急がなくても・・と思うのが、ドアの開け閉めである。
運転手の”性格にもかなり依存”しているのだと思うのだけれど、
大概イタリアのバスのドアは、
”止まる前に開き”、”動き出したあと閉まる”。
もしくは、”開きながら止まり”、”閉めながら動き出す”。
だから、降りるときは、ドアが開いたからといってあわてて降りると危険なので、
完全にドアが開ききって、完全にバスが止まるまで一呼吸おいて降りる必要がある。

またドアの開閉について、運転手は安全確認などほとんどせずに発車するため、
飛び込み乗車は本当に命取りになるので、ここでもよほどの上級者以外はやめたほうがよい。
旧式のバスだと、ドアは殺人的な勢いで開閉するので、
乗り込む途中でドアが閉まると本当に弾き飛ばされる。

安全確認をしないといえば、”ドアを閉め忘れて”バスが発車したこともある。
その時は、バスが非常に混んでいてかなり危険な状態だったので、
乗客たちがすぐに運転手に大声で”注意”して、ドアは閉まった。

しかし、また別のときは、これこそ極め付けなのだけど、
ある停留所で発車する時に一番後ろのドアを閉め忘れ、
そのまま次のバス停に着き、そこでなんと”ドアを閉め”、
また発車すると”ドアを開く”という、”逆の開け閉め”を始め、
その時はバスが別に混んでいなかったため、乗客も何も言わずに笑っていたため、
僕が降りた時もずっとそのまま。
いつ気づくのかなぁ、と、
また一番後ろのドアを”開けて”から走り出していくバスを見送りました。


ちょっと長くなったので、次回「後編」へ続きます。
ちなみにイタリアのバス”超現象”のタイトルだけ予告。

アウトブス現象C 乗客兼助手?

アウトブス現象D しょーぺろ

アウトブス現象E バスは道を間違える

アウトブス現象F バスは人を轢く

の、4本でお送りしま〜す。んがぐぐ。

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